奨学金の種類と返済の全知識(2026年版)
日本の奨学金制度の概要
日本で最も広く利用されている奨学金は、日本学生支援機構(JASSO)が提供する貸与奨学金です。「第一種奨学金(無利子)」と「第二種奨学金(有利子)」の2種類があり、2022年度から「給付型奨学金」も大幅に拡充されました。2026年現在、JASSOの奨学金を受けている学生は約120万人、貸与総額は年間約1兆円以上に上ります。
第一種・第二種奨学金の比較
| 種類 | 利子 | 月額(大学) | 審査基準 |
| 第一種(無利子) | なし | 2〜6.4万円(自宅・自宅外で異なる) | 学力基準・家計基準(厳しい) |
| 第二種(有利子) | 年最大3%(2026年実績は1%前後) | 2〜12万円(選択制) | 第一種より緩やか |
| 給付型奨学金 | 返還不要 | 2〜7.5万円(住民税非課税世帯等) | 家計基準(低所得世帯優先) |
奨学金の返済額シミュレーション
【第二種奨学金・月8万円・4年間・金利1%で借りた場合】
借入総額:8万円×12ヶ月×4年 = 384万円
返済期間:最長20年(240回)
月額返済額:約17,600円/月
利息総額:約約37万円
総返済額:約421万円
月収20万円の新入社員の場合、月収の約8.8%が奨学金返済に消える計算
奨学金返済が苦しい場合の救済制度
奨学金の返済が困難になった場合、JASSOは以下の救済制度を設けています。
- 返還期限猶予:年収300万円以下・失業・疾病・震災等の場合、返済を最大10年間猶予
- 減額返還:月々の返済額を半額にできる(返済期間は延長される)。年収325万円以下が目安
- 所得連動返還方式:収入に応じて返済額が変わる方式。年収が少ない時期は返済額が少なくなる
- 返還免除:障害・死亡・自己破産等の場合に返済が免除される
奨学金の繰り上げ返済のメリット
第二種奨学金(有利子)は繰り上げ返済が可能で、手数料は無料です。繰り上げ返済をすることで利息を削減できます。ただし第一種奨学金(無利子)は繰り上げ返済しても利息節約のメリットがないため、その分の資金は積立投資(新NISA等)に回す方が長期的に有利になるケースがあります。
奨学金と「奨学金破産」の実態
奨学金は「借金」であることを認識することが重要です。近年「奨学金破産」(奨学金返済ができず自己破産に追い込まれる)が社会問題となっています。就職後に奨学金の返済が始まる20代は、家賃・生活費・奨学金返済の三重苦になるケースが少なくありません。大学進学前に「何年間で総額いくら借りるか」「卒業後の月収から無理なく返済できるか」を慎重にシミュレーションすることが重要です。
💡 奨学金を賢く活用するポイント:①給付型奨学金の申請を最優先にする②第一種(無利子)の審査に落ちても第二種の金利は現在低水準(1%前後)③借りる金額は「必要最低限」にする④就職後は早めに繰り上げ返済を検討(第二種のみ効果あり)⑤返済が困難な時は猶予・減額制度を早めに利用する
【整理】奨学金の種類・月額・返済の違い(JASSO)
奨学金と一言でいっても、返さなくていいものから利息付きのものまで様々です。大学生の約2人に1人が利用するJASSO(日本学生支援機構)を中心に、種類と返済の違いを整理します。
奨学金は大きく3種類
| 種類 | 返済 | 特徴 |
| 給付型 | 不要(もらえる) | 返済不要。授業料減免とセットのことが多い。まず検討すべき |
| 第一種(貸与) | 必要・無利子 | 借りた分だけ返す。利息なしで負担が軽い |
| 第二種(貸与) | 必要・有利子 | 利息付き(上限年3%)。基準は緩く借りやすい |
おすすめの検討順は「給付型 → 第一種(無利子)→ 第二種(有利子)」です。まず返済不要の給付型や大学独自の特待生制度・民間奨学金を確認し、足りない分を貸与型で補うのが、卒業後の負担を抑えるコツです。
貸与月額(第二種の例)
第二種は月2万〜12万円を1万円刻みで選べます(私大の医・歯学は増額可)。第一種は学校種別・通学形態で上限が決まっています。
| 項目 | 内容 |
| 第二種の月額 | 2万〜12万円(1万円刻みで選択) |
| 第二種の利率(2026年目安) | 利率固定 約1%前後/利率見直し 約0.3%前後(上限3%) |
| 保証 | 機関保証(保証料要)か人的保証(連帯保証人)を選択 |
借りすぎ注意:返済総額をイメージする
貸与型は「もらう」のではなく「借りる」もので、卒業後に自分が返済します。例えば第二種を月8万円・4年間借りると、貸与総額は384万円。これに利息が付き、卒業後15〜20年かけて返済することになります。毎月の返済額は1〜2万円台になることが多く、社会人になりたての家計には決して軽くありません。「必要な額だけ」借りることが、将来の自分を守る鍵です。
返済が苦しくなったときの救済制度
もし卒業後に返済が難しくなっても、JASSOには救済制度があります。①減額返還:毎月の返還額を1/2・1/3などに減らす(期間は延びるが総額・利息は増えない)、②返還期限猶予:一定期間、返還を先送りできる、③所得連動返還方式(第一種):前年所得に応じて返還額が決まる。返済が苦しいときは滞納する前に、早めにJASSOへ相談することが大切です。延滞すると延滞金が発生し、信用情報にも影響します。
💡 奨学金のポイント:①給付型(返済不要)→第一種(無利子)→第二種(有利子)の順で検討②第二種は月2〜12万円・利息上限3%③貸与型は「借金」・返済総額をイメージ④必要な額だけ借りる⑤返済が苦しいときは減額返還・猶予制度を早めに相談。滞納は避ける。
❓ よくある質問
奨学金の月々の返済額はいくらになりますか?
返済額は借入総額・利率・返済期間によって異なります。上のツールに入力すると自動計算できますが、目安として月8万円×4年間(総額384万円・金利1%・20年返済)の場合、月約17,600円の返済が約20年続きます。月4万円×4年間(192万円)なら月約8,800円です。就職後の手取り収入の10%以内に抑えるのが目安です。
奨学金は早めに返した方が良いですか?
第二種奨学金(有利子)は繰り上げ返済することで利息を節約できるため、余裕資金があれば繰り上げ返済を検討する価値があります。ただし現在の金利が低い(1%前後)場合、新NISA(期待リターン5〜7%)で積立投資した方が長期的に有利になる可能性があります。第一種奨学金(無利子)は繰り上げ返済しても節約できる利息がないため、余裕資金は貯蓄・投資に回す方が合理的です。
奨学金の返済が困難になった場合はどうすれば?
JASSOには「返還期限猶予」(最大10年間・無利子で猶予)と「減額返還」(月々の返済額を半額に)の制度があります。年収が少ない・失業・病気・出産育児などの事情がある場合に利用できます。放置して延滞すると延滞金(年利5%)が加算されるだけでなく、連帯保証人(親など)への請求・信用情報への登録(いわゆるブラックリスト)につながる可能性があります。返済が苦しいと感じたら必ずJASSOに早めに相談することが重要です。
奨学金を延滞するとどうなりますか?
奨学金を延滞すると①延滞金(年利5%)が加算される②信用情報機関(CIC)に事故情報が登録される(いわゆるブラックリスト入り)③クレジットカード・新規ローンが作れなくなる④連帯保証人(通常は親)への請求が始まる⑤最終的には法的手続き(支払い督促・裁判・給与差押え)に発展する——などの深刻な影響があります。返済困難な場合は「猶予」「減額」制度を使うことで延滞を避けることができます。
給付型奨学金はどういう人が対象ですか?
2020年度から本格実施された給付型奨学金(返還不要)の対象は、住民税非課税世帯・それに準ずる世帯(年収目安:4人家族で約380万円以下)の学生です。2024年度の制度拡充により、子ども3人以上の多子世帯は所得を問わず対象になりました。また中間層(年収600万円程度まで)の学生に対する授業料減免も拡充されています。詳細は文部科学省・進学先の大学の公式情報をご確認ください。
奨学金は自己破産できますか?
奨学金も他の借金と同様に自己破産(免責)の対象となります(非免責債権ではない)。ただし自己破産をすると①信用情報に記録が残り(約10年間)クレジットカード・ローンが使えなくなる②連帯保証人への請求は続く③財産が没収される(一定額以下は免除)——などの深刻な影響があります。奨学金の自己破産は最後の手段であり、まず猶予制度・減額制度・家族への相談・法テラス(無料法律相談)を活用することをお勧めします。
奨学金と住宅ローンを同時に返済できますか?
同時返済は可能ですが、家計への負担が大きくなるため慎重な計画が必要です。住宅ローンの審査では奨学金残高も「既存の債務」として考慮されます。奨学金残高が多い場合、借りられる住宅ローン額が少なくなる可能性があります。奨学金の返済が完了してから住宅購入を検討するか、奨学金残高が少ない状態での住宅購入が安全です。返済負担率(住宅ローン+奨学金の年間返済額÷年収)が35%以内に収まるよう計画しましょう。
奨学金の「連帯保証人」「保証機関保証」の違いは?
JASSOの奨学金は保証制度を選択します。①人的保証(連帯保証人・保証人を立てる):親・親族が連帯保証人になり、延滞時に請求される②機関保証(公益財団法人日本国際教育支援協会が保証):毎月保証料が引かれるが、保証人を頼む必要がない——の2択です。保証人を頼めない場合・頼みたくない場合は機関保証を選びますが、月数千円の保証料が差し引かれます。延滞時のリスク(家族への影響)を避けたい場合は機関保証が安心です。
奨学金の返済は社会人になってからどのくらいで終わりますか?
JASSOの貸与奨学金の標準返済期間は「貸与期間の2倍(最長20年・240回)」です。大学4年間・月8万円借りた場合(384万円)は最長20年間の返済になります。繰り上げ返済・所得が上がって毎月余裕ができた分を繰り上げ返済することで返済期間を短縮できます。社会人1〜2年目は給与が低く余裕がない場合は「減額返還制度」を利用して月々の返済額を半額にすることも選択肢です。
大学・専門学校に入学する前に知っておくべき奨学金の注意点は?
入学前に必ず確認すべきことは①借りる総額(月額×12ヶ月×在学年数)を計算し「卒業後に返せるか」をシミュレーションする②給付型奨学金(返還不要)の資格があるか確認する③第一種(無利子)から申請し、審査通過しなければ第二種を検討する④進学予定の学校の学費・生活費の実態を調べる(授業料だけでなく教材費・実習費等)⑤民間企業・自治体の奨学金(返還不要のものも多い)も探す——です。将来の負担を理解した上で必要最低限の金額だけ借りることが重要です。